あとがき

これらの短編小説3作品は2005年〜に書きました。35%くらいのギャグと65%くらいの真面目さで書きました。
舞台は架空の国標津村(くにしべつむら)。人口200人の小さな村です。暑い地域なのか、寒い地域なのかは読む方のご想像におまかせです。僕の田舎や子供地代の思い出、おじいちゃん、おばあちゃんとの触れ合いを思い出し、その時に感じた暖かさを出せればなあと思って書きました。みんながみんなを支えていて、必要として生きている世界。

主人公は役場に勤めているマコト。同じ役場には小学校時代からの友達の栗田も働いています。
第1話「彼女の空」はその二人と、キヨテルとおばあちゃんの話です。便利な道具であるパソコンを、本来の使い方とは全く違う、何か他の形で、気持ちを伝えるツールとして使えればなあと思って書きました。

第2話「サンルーフ」もマコトと栗田の話。二人の中学時代のエピソードと距離感を、村長、栗田のお父さん、そしてロックミュージシャン佐野さんとの関係で描きました。すれ違いと、思い合い、そして親の子供に対する太陽のような気持ちを描きました。

第3話はマコトと栗田の子供時代の話です。第一話のキヨテルと同じで、マコトもおばあちゃんとの二人暮らし、子供から大人になる時期と、おばあちゃんとの触れ合い、どうして村役場で働こうと思ったのか、そして村のみんなが思い合い、支え合う姿を描きました。

書いてから五年経って、この五年で三回くらい読んだのですが、今回二年ぶりくらいに読んで、全体の15%くらいを書き換えました。基本的な価値観は今と書いた当時とで変わっていませんが、読んでいて新鮮な部分、忘れていた感覚、今だったらこうするなあという部分があって面白かったです。国標津村の人々、その生活、気に入ってもらえると嬉しいです。
ご拝読ありがとうございました。


2010夏 田辺誠一